会員のみなさまこんにちは!
今日の東京はとっても良い天気ですが、とうとう梅雨入りしましたね~。
気象庁のホームページを見てみると、平年梅雨入りは6月8日頃で、昨年は6月9日に梅雨入りしたようでした。
10日も早い梅雨入りです!これで、梅雨明けも早ければいうことはありませんが...^^♪
平年、梅雨明けは7月25日頃だそうです。
今年は桜の開花も早かったですし、色々前倒しですね☆
冬が来るのは遅くあってほしいものです。
さてさて、ちょうど梅雨明けシーズンに次回公演「百枚めの写真」東京公演が始まります!
3月頃にこちらのブログで劇評の抜粋を掲載しましたが、本日はその全文を紹介させていただきます^^!
2010年12月に紀伊國屋ホールで初演を行い、その後演劇雑誌「テアトロ」に掲載された劇評です。
見つめ返す眼差し
誰かに見せるために自分の写真を撮ったことがあっただろうか。
トム・プロジェクト プロデュース「百枚めの写真~一銭五厘たちの横丁~」(原作/児玉隆也、写真/桑原甲子雄、作・演出/ふたくちつよし)を観終えて、私は自分の記憶を探ってみた。
原作は1975年に発表された児玉隆也のルポタージュ。戦地にいる息子や夫、父親のために家族写真を撮った、時代に翻弄され続けた「天皇から一番遠くに住んだ人々」のその後を追った記録だ。
児玉は東京の下町を丹念に訪ね歩き、多くの証言を重ね合わせることで99枚の写真を一枚ずつ丁寧に証していく。
これを劇化するには特別の仕掛けが必要だった。ふたくちは架空の家族・根本家を作り出し、児玉が取材する「今」と三十年前を往き来しながら彼らを描くことで、99枚の写真を記録としてではなく、現在の私たちに繋がる生きた人間として血肉化した。
職人気質の頑固な父親、にぎやかで逞しい母親、夫の留守を守る凛とした嫁、明るく家族思いの妹という根本家は99枚の父親であり、母親であり、そして私の家族として眼の前に現れた。
児玉を演じた田中壮太郎をはじめとした俳優たちがこの典型を好演した。
鳥山昌克の存在感のある父親、大西多摩恵の明るい生活感のある下町の母親が印象深い。
それにしても、舞台に映し出される家族写真の眼差しの真っ直ぐなこと。
遠く戦地にいる父親であり、夫であり、息子であるかけがえのない人の無事をただひたすらに祈る深く率直な愛情に溢れている。その眼差しが舞台を支え、それを見つめる私を見つめ返してくる。
終幕、根本家の人々が家族写真に収まる様を見つめる児玉の厳しい眼差しは、悲しみと怒り、そして強い意志を湛えていた。
百枚目の写真を幻にすることによって、現実の百枚目を許してはならないというメッセージが伝わってくる。
丸田真悟
(2010年舞台写真)
百枚めの写真 初演時劇評
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